2025-04-30

にんげんっていいな(まんが日本昔ばなし)

 表題曲は、昭和後期に子供向けテレビアニメとして人気があり、長年にわたり放映されていた『まんが日本昔ばなし』の主題歌でした。番組の放送枠は30分で、毎回日本各地に伝わる昔話が映像化され、市原悦子と常田富士男の両名が、一人で何役もの声を使い分ける独特の語りが印象的でした。


 放映当時、私の子供がこの番組を見るに適した年齢だったこともあり、一緒に楽しんで見ていたことを思い出します。『月光仮面』など多数の特撮テレビドラマを手掛けた川内康範が監修に携わり、川内の娘で童話作家である川内彩友美が企画・製作しました。話の結末は必ずしもハッピーエンドのものばかりではなく、視聴者が考えさせられる話や、絶望的・理不尽な結末を迎えるシリアスなものもありました。

 

 番組内容に加え印象的だったのが、心温まる主題歌の存在です。番組放映当初は別の主題歌でしたが、19841月から、この『にんげんっていいな』が登場しています。作詞 - 山口あかり / 作曲 - 小林亜星で、毎回放映されるアニメの雰囲気に沿った、心が温かくなる感じがする歌詞とメロディが印象深い歌でした。

 

 歌詞では、動物達から見て人間の生活を羨む気持ちが描かれています。ひと昔前までは、一番身近な動物である犬でさえ、やや過酷な環境で飼っていた家庭が多かったと思います。しかし、何時の間にか家の中で人間並みの生活をする犬が増えてきています。


そもそも昔は、犬といえば「番犬」として飼うのが一般的でした。しかし今では、愛玩用のペットとして飼う家庭がほとんどです。このため、犬の生活環境変化は、当然と云えば当然の成り行きなのですが、家の外に置かれた小屋で飼うのが当たり前だった犬が、家の中で、ほぼ人間と同じ環境で暮らすようになるとは、当時は想像できませんでした。 

 

 ところで、幼い子供たちは、テレビのアニメ番組からではなく、身近な人から直にこうした昔話を聞かせてもらう方がはるかに喜びます。私は孫に昔話をする時は、絵本をそのまま読み聞かせるのではなく、その物語の大筋を頭に入れた上で、口頭だけで話すようにしていました。ストーリーもその都度適当にアレンジしたり、特に主人公などの登場人物を孫の名前に替えたりして話すと、自分が主人公になっていると思えるためか、非常に喜んでいました。


孫も今では大きくなって、こういう機会は無くなってしまいましたが、もう一度幼い子に、こうした昔話を語りたい気持ちが沸いてきます。今思えば、昔話を語る時間は、孫だけでなく私自身にとっても、かけがえのないひと時だったのかもしれません。

 

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