戦前の少年向け雑誌『少年倶楽部』には、「怪人二十面相」という冒険小説が連載されていました。その小説では小林少年を中心に、子供達だけで構成された探偵団が、名探偵明智小五郎を手助けして、怪人二十面相をやっつけるというストーリーが展開されていました。
少年探偵団団長の小林少年というのは、作中では11~13歳の少年として設定されていますが、明智小五郎の弟子になっていて、明智から拳銃の撃ち方を習っており、自動車の運転まで行っていました。今冷静に考えてみると、とんでもない少年でした(笑)。
この小説を書いたのは、有名な推理作家の江戸川乱歩ですが、このペンネームの由来は、アメリカの小説家で史上初の推理小説『モルグ街の殺人』を書いたエドガー・アラン・ポーのもじりです。怪人二十面相はフランスの小説家モーリス・ルブランが発表した冒険小説「怪盗ルパン シリーズ」の主人公である、アルセーヌ・ルパン(漫画ルパン3世の先祖)をモデルにしたのでしょう。
少年倶楽部に連載された江戸川乱歩の作品が、戦後の昭和31年頃からラジオドラマ化され、その番組の主題歌として作られたのが表題曲でした。出だしの「ぼ・ぼ・ぼくらは少年探偵団~」から始まる、はずむようなメロディが非常に印象的でした。
その頃、私が住んでいた町内の子供達の間でも少年探偵団が結成されました。私は団員の中でも一番年少だったので、何をしているのか意味も分からず(笑)、ただ皆の後にくっついて走り回っていただけだったように記憶しています。
戦後に少年少女向けラジオドラマとして最初に登場したのは、「笛吹童子」や「紅孔雀」です。その後に出てきたのが、この「少年探偵団」、以降「赤胴鈴之助」や「月光仮面」が続きました。私は「笛吹童子」や「紅孔雀」のラジオドラマが放送されていた頃は未だ幼過ぎて記憶になく、「少年探偵団」の記憶も微かなのですが、この主題歌は大好きでハッキリ覚えています。
ただ、当時のラジオドラマで直接聞いた記憶というより、その後何度か映画やテレビドラマ化されていますので、それらを見聞きした時の記憶だったのかもしれません。
「少年探偵団」や「月光仮面」は、今も子供たちに絶大な人気をもつ仮面・変身ヒーローものの元祖というべき作品で勧善懲悪の物語です。正義の味方のヒーローが、悪の権化たちを懲らしめるという、幼い子供達にも分かりやすいストーリーになっています。
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